こんにちは。内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。
5月中頃になり、暖かい日も増えてきました。ただ、そんななか体調不良の声も多くお聞きします。
本日は最近ニュースでも取り上げられている百日咳について解説したいと思います。
「風邪かな? でも、なかなか咳が止まらない…」
もしかしたらそれは「百日咳(ひゃくにちぜき)」かもしれません。
百日咳は、特に赤ちゃんや高齢者にとって危険な感染症です。赤ちゃんは予防接種を受ける前の月齢で感染することが多く、大人からうつることもよくあります。
症状が長引くと、呼吸が止まるなど重い症状に進行することもあります。
「風邪かな?」と思って放置してしまうと、周囲の人々にも影響を与えることがあります。
この記事では、百日咳の症状、治療、予防法についてわかりやすく解説していきます。
正しい知識を持つことは、大切な人を守るために欠かせないことです。
ぜひ、最後までお読みください!
百日咳は、「ボルデテラ・パータシス」という細菌が原因で引き起こされる、呼吸器の病気です。その特徴は、咳が長く続くこと。時には、100日以上咳が止まらないことがあります。
特に赤ちゃんや小さな子どもにとっては非常に危険です。重症化し入院が必要になることもあります。最悪の場合、命に関わることもありますので早期に気づいて、すぐに適切な対応をすることが大切です。
そして、細菌が原因という点ももちろん危険ですが、実は“咳そのもの”も喉に大きな負担をかけていることをご存じでしょうか?
実は咳の速さは、時速200〜300キロとも言われています。
この強い咳が何度も繰り返されることによって、喉の粘膜に直接ダメージを与え、炎症を起こしたり傷つけたりしてしまいます。
例えるなら、何度も同じ場所にパンチを受けているようなもの。喉がサンドバック状態になってしまいます。
最初は平気でも、繰り返されるうちにどんどん弱っていきます。
小さな子どもや高齢者は、こうしたダメージに耐えられず、呼吸がしにくくなったり、体力を消耗してしまうことがあるため注意が必要です。
百日咳は、飛沫感染によって広がります。
感染した人の咳やくしゃみに含まれる細菌が、近くにいる人の口や鼻から入り込むことが感染の原因になります。
大人でも感染することがあり、自覚がないまま赤ちゃんにうつしてしまうこともあります。
大人は軽い症状で済むことも多いですが、赤ちゃんが感染すると重症化するリスクがあるため、周りの人の配慮がとても大切になります。
百日咳は時期によって症状が変化します。
・初期(1~2週間)
軽い咳や鼻水など、まるで風邪のような症状が出ます。見た目には普通の風邪と区別がつきにくく、つい見逃されがちです。
・中期(2~6週間)
この頃から、独特な連続した咳が目立つようになります。咳のあとに、息を吸うとき「ヒュー」という笛のような音が出るのも特徴です。
特に夜間に激しく咳き込むことが多く、吐いてしまうこともあります。
・回復期(2週間~数カ月)
咳は徐々におさまっていきますが、完全に治まるまでに時間がかかることがあります。
長引く咳に不安を感じることもありますが、しっかりと様子を見守ることが大切です。
特に注意が必要なのは、乳児です。
赤ちゃんの場合、特徴的な咳が見られず、いきなり呼吸が止まる(無呼吸発作)、顔色が悪くなるといった症状だけが現れることがあります。こうした場合、すぐに医療機関を受診してください。
百日咳は、冒頭でお話ししたように「ボルデテラ・パータシス」という細菌によって起こる感染症のため、抗菌薬による治療が基本になります。
発症の早い段階で抗菌薬を開始することで、咳の重症化を防ぐ効果や、周囲への感染拡大を抑える効果が期待できます。
しかし、咳が本格化する中期に入ってしまうと、抗菌薬を使っても咳そのものをすぐに止める効果はあまり期待できません。
だからこそ早期に身体の異変に気づき、医療機関への受診をすることが重要です。
現在のところ、百日咳だけに効く「咳を止める薬」はありません。
そのため、少しでも咳を楽にするために、咳止めの薬や、熱や体のだるさを和らげる薬(解熱鎮痛薬)が使われることがあります。
また、赤ちゃんや高齢者などは、咳がひどくなると呼吸が止まりそうになったり、体に十分な酸素が行きわたらなくなることもあります。
そういった場合は、酸素を吸わせたり、点滴で栄養や水分を補ったりするために、病院に入院して治療を受ける必要があることもあります。
百日咳を予防するために最も大切なのは、予防接種(ワクチン)を受けることです。
日本では、四種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)が予防のために使われています。
このワクチンは、生後3か月ごろから摂取が推奨されており、決められたスケジュールに従って、きちんと受けることがとても大切です。
しかし、大人になって免疫が少しずつ弱くなることがあります。そのため赤ちゃんや小さなお子さんと接する機会が多い方は、追加の接種を受けることを検討してみてください。
これにより自分だけでなく、周りの人を守ることができます。
・「大人がうつす百日咳」が増えている
最近、百日咳にかかる人の約半数は10代以上の大人や若者です。自分では「風邪が長引いているだけかな?」と思っているかもしれませんが、気づかないうちに赤ちゃんにうつしてしまうことがあります。
特に、新生児期に感染すると、呼吸が苦しくなったり、脳に影響が出ることがあるなど、重篤な状態になるリスクが高くなります。
・咳が出ている時期にマスクをしても、感染力は強い
百日咳の原因菌は、咳が出始めてから少なくとも3週間ほど感染力を持っています。
マスクをすることも重要ですが、感染初期から抗菌薬を使って治療を始めることと、できるだけ接触を避けることが、感染拡大を防ぐためには最も大切です。
・免疫は一生続かない
百日咳に対するワクチンや、過去にかかったことがある人でも、数年から十数年で免疫が弱まることがわかっています。そのため、再度感染する可能性もあるので、咳が長引く場合、「百日咳かも?」という視点を持って、早めに医療機関を受診しましょう。
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そんな方は、まずは“自分を知る”ことからはじめてみてください。
百日咳は、風邪に似たような症状があるため、最初は見分けがつきにくいことがあります。
しかし、特に赤ちゃんにとっては。とても大きなリスクとなる病気です。
長引く咳には注意が必要で「咳が続くな」と思ったら早めに医療機関へ受診し、抗菌薬治療を受けること、そして何より予防接種が大切です。
また大人が気づかずに子供に感染させてしまうことがよくあります。そのため、大人も自分が感染源にならないように意識することが重要です。
「ただの咳だろう」と軽視せず、大切な人を守るために、百日咳についての正しい知識を持つことが大切です。
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