こんにちは、現役内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。
少しずつ日が長くなり、春の足音が聞こえ始めるこの時期。
ようやくインフルエンザの流行が落ち着きを見せ始めましたが、代わって増えているのが「感染性胃腸炎」です。
仙台市の最新発表では、インフルエンザが6週ぶりに減少した一方で、感染性胃腸炎の患者数は増加傾向にあります。
保育所や高齢者施設でも集団感染が疑われる事例が出ており、まだまだ油断できない状況です。
「少しお腹にくる風邪かな?」と見過ごされがちですが、実は風邪と感染性胃腸炎は初期症状が似ており、専門家でも判断に慎重さを要します。
しかし、ひとたび感染が広がると一家全滅という事態を招きかねません。
今回は、この流行を乗り切るためのポイントを詳しく解説します。
ぜひ、最後までご覧ください!

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌が身体の中に入り込むことで起こる、とても身近な病気です。
現在の流行状況において、感染性胃腸炎の主な原因となっているのはノロウイルスを代表とする「ウイルス性」のものです。
これらのウイルスは非常に感染力が強く、環境耐性が高いのが特徴です。
体内に入り込むウイルスの量がごくわずかな微粒子であっても、容易に発症の原因となり得ます。
夏場に多く見られる細菌性の食中毒が「食品内での菌の増殖」を主な原因とするのに対し、今の季節に猛威を振るうウイルス性は、飛沫や接触を介して「人から人へ」とダイレクトに感染が拡大しやすいという性質を持っています。
代表的な症状は、突然の吐き気や激しい下痢です。
その他にも、感染性胃腸炎の主な症状を下記にまとめました。
嘔吐: 予兆なく突然始まり、短時間に何度も繰り返すのがこの疾患に特徴的な症状です。胃の中の原因ウイルスを物理的に取り除こうとする反応ですが、体力の消耗が激しいため注意が必要です。
下痢: 腸管内に侵入した原因物質を洗い流そうとするため、水分量の多い「水様便」の症状が頻繁に見られます。
腹痛: 腸が激しく動くことにより、間欠的に強く痛むような症状を伴うことがあります。
こうした症状は、まさに身体が原因物質と懸命に戦っているサインです。
自己判断で下痢止めなどを使用すると、かえって原因物質の排出を遅らせる恐れもあります。
まずは無理に食事を摂ろうとせず、安静を保ち、身体を十分に休ませてあげることが回復への第一歩となります。

インフルエンザの流行が落ち着きを見せる中で、なぜ感染性胃腸炎だけが勢いを増しているのでしょうか。
その最大の原因は、このウイルスの極めて強力な「感染力」にあります。
感染性胃腸炎を引き起こすウイルスは、環境中での生存能力が高く、以下のような多様な経路で感染を広げていきます。
接触感染: 感染者が触れたドアノブや電気のスイッチ、水道の蛇口などにウイルスが残存し、そこを触れた他者の手を経由して口に入ることで感染が成立します。
経口感染: ウイルスに汚染された食品を、加熱不十分な状態で摂取することが原因となり発症します。
飛沫感染: 嘔吐物が乾燥すると、目に見えないほど微細な粒子となって空気中を漂います。これを周囲の人が吸い込むことも、集団感染を引き起こす大きな原因の一つです。
このように、私たちの日常生活の至る所に感染のリスクが潜んでいます。
こうした多様な感染経路が存在するため、ご家族が一人でも発症すると、適切な対策を講じない限り、あっという間に二次感染の連鎖が止まらなくなってしまうのです。

看病する方も、される方も少しでも楽になれるよう、二次感染を最小限に抑えるための看護のポイントをまとめました!
感染した方の服を他のものと一緒に洗うと、洗濯槽の中でウイルスが広がってしまう原因になります。
熱湯でのひと手間: ウイルスは熱に弱いです。85℃以上の熱湯に1分ほど浸してから洗うだけで、感染予防の効果がぐっと高まります。
ハイターなどの活用: 白いタオルなどは塩素系漂白剤を使うのが、最も確実な感染対策になります。
吐き気の症状が強いとき、一気に水分を摂ると、その刺激でまた吐いてしまう原因になります。
点滴のようにゆっくり: 5分おきにスプーン一杯ずつ、経口補水液を口に含ませてあげてください。この「小さな一歩」が、脱水症状から体を守る一番の近道です。
症状が落ち着いて「もう大丈夫!」と思っても、ウイルスはまだ身体の中に潜んでいます。
1ヶ月はケアを続ける: 症状が消えた後も、便の中にはしばらく原因ウイルスが排出されます。
トイレの蓋を閉める習慣: 流すときにウイルスが舞い上がるのを防ぐため、蓋を閉める習慣を。これが次の感染を防ぐ大切なマナーです。
感染性胃腸炎の流行を穏やかに乗り切るために、日頃の何気ない習慣をほんの少しだけ見直してみませんか?
正しい知識を持って、一つひとつ落ち着いて行動することが、自分自身と大好きな家族を感染から守るための、何より心強い第一歩となります。
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参考:仙台放送
【執筆者】内科医 橋本将吉(ハシモトマサヨシ)
内科医。高齢者向けの訪問診療『東京むさしのクリニック』院長。2011年に「全ての世代が安心して生活できる人生に」という理念の元、株式会社リーフェホールディングス(旧株式会社リーフェ)を設立。将来の医師を育てる医学生向けの個別指導塾『医学生道場』の運営や、自らが『ドクターハッシー(内科医 橋本将吉)』というYouTubeで健康教育を行う。2022年9月に、健康や医学を医師から学ぶ事のできるサービス『ヘルスケアアカデミー』をリリース。ヘルスケアアカデミー事業の一環として企業や学校等でセミナーを開催している。また、2023年11月には現役の医師目線で日々を健康に暮らすためのアイテムを扱うライフスタイルブランド「ハシモトマサヨシ」を立ち上げ、健康に対する知識を発信しながら商品を展開している。「めざましテレビ」「ホンマでっか!TV」など多数のテレビ番組の出演、「世界一受けたい授業」「林修の今、知りたいでしょ!」など、人気番組の医療監修を手掛け、著書に『薬のトリセツ』(自由国民社)『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』(アスコム)などがある。
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