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健康ジャーナル

2025.05.16
カテゴリー:

夏本番前にチェック!内科医が教える熱中症の正しい見分け方と予防のポイント

こんにちは。現役内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。

5月に入りだんだんと暖かくなってきましたね。

そしてなんと、来週から気温が30℃近くになる予報です。

気温が高くなると心配なのが「熱中症」です。しかし、実際にどんな症状が出るのか?どんな場面で起こりやすいのか?そして、どうやって対策すればいいのか?

こうした基本的なことが、意外と知られていないのが現状です。

今回は、現役内科医の視点から、熱中症とは何か、症状の見分け方や対処法までをわかりやすく丁寧に解説していきます。

暑さの中でも、大切な人たちと安心・安全に過ごすために。

ぜひ最後までご覧ください!

1. 熱中症とは? ~なぜ熱中症になるのか~

熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体の体温調整機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもってしまう状態をいいます。

私たちの体は、体温が上がると汗をかき、汗が蒸発することで熱を放出して体温を下げようとします。

しかし、気温や湿度が高すぎるとこの調整がうまくいかず、体に熱がこもってしまうのです。

その結果、体温が異常に上がったり、水分や塩分のバランスが崩れたりして、様々な体調不良を引き起こすのが熱中症の本質です。

また、気温が高い日だけでなく、湿度が高い日や、風通しの悪い場所に長くいるときも注意が必要です。

たとえば、エアコンをつけずに過ごしている室内でも、気づかないうちに熱中症を発症してしまうことがあります。

つまり、「暑さ」そのものだけではなく、「湿度」や「風の流れ」「体調」などの条件が重なったときに、熱中症のリスクが高まります。

これからの暑い時期を乗り切るためにも、「熱中症がどんな時に起こるのか」しっかり知っておくことが大切です。

2. 熱中症のレベル別・症状の解説

熱中症は、その重症度によって大きく3つの段階に分けられます。

最初は軽い症状でも、対応が遅れることで一気に重症化する恐れがあります。

これから紹介する熱中症の症状をチェックして、「もしかして…?」と思ったらすぐに対処してください!

●軽度

主な症状:めまい、立ちくらみ、顔のほてり、筋肉のけいれん、大量の汗

対応:この段階では、まずは涼しい場所に移動し、水分や塩分(経口補水液やスポーツドリンク)を補給することが大切です。

「少し変だな」と感じたら、無理せず早めの休息をとるようにしましょう。

軽傷のうちにケアできるかが、重症化を予防するポイントです。

●中等度

主な症状:頭痛、吐き気、嘔吐、強い倦怠感(だるさ)、集中力の低下、判断力の低下、脈が速くなる、動悸がする

対応:この段階になると、体内部でかなりの熱ダメージが進行している状態です。涼しい場所での応急処置に加え、速やかに医療機関を受診することが望ましいです。

特に子どもや高齢者は、急速に重症化することがあるため、油断せず早めの対応を心がけましょう。

●重度

主な症状:意識がもうろうとする、返答がおかしい、けいれん発作。体温が著しく高い(40℃以上)、汗が出なくなる(重症のサイン)

対応:これは命に関わる緊急事態です。すぐに救急車を呼んでください。本人を涼しい場所に移動させ、氷や冷たいタオルで首・脇・太ももを冷やすなどの応急処置を行ってください。

自己判断は非常に危険ですので、迷わず救急対応を優先してください。

3. 熱中症を予防する方法 ~日常でできるシンプルな対策~

熱中症は「予防できる病気」です。

正しい知識とちょっとした心がけで防ぐことができます。

特に高齢者や子ども、持病のある方は重症化しやすいため、日頃から対策しておくことが大切です。。

こちらでは、日常生活のなかで実践しやすい熱中症予防のポイントをまとめてみました。

難しいことはありません!積み重ねが命を守る行動につながります。

●こまめな水分・塩分補給を心がけましょう

「喉が渇いた」と感じたときは、すでに体に水分が足りていないサインです。

喉が渇く前から、意識的にこまめに水分をとる習慣をつけましょう。

特に汗をたくさんかいたときは、水分だけではなく塩分も一緒に失われています。

その場合は、スポーツドリンクや経口補水液を活用し、塩分と水分を同時に補給することが大切です。

●暑さを避ける対策を!

高温多湿の環境に長くいることが、熱中症の大きな引き金になります。

・なるべく外出は朝や夕方の涼しい時間帯に

・無理をせず、日中の外出を控える

・エアコンや扇風機を上手に使って、室温調整を

特に室内であっても、「なんとなく我慢」は禁物です。高齢者の方は暑さを感じにくいこともあるため、周囲の声かけや湿度計の活用も熱中症予防に効果的です。

●通気性のいい服装と、帽子で直射日光を避けましょう

服装にもひと工夫加えることで、熱中症対策になります。

・風通しが良く、吸汗・速乾性がある素材を選ぶ

・帽子や日傘を使って直射日光を避ける

直射日光を避けることで、体温上昇を抑えることができます。

・暑さ対策の冷感グッズやUVカットのアイテムも有効です

お子さんの場合は、外遊びの時間を短くする、日陰を活用するといった工夫も効果的です!

・日々の体調管理を大切に

意外かもしれませんが、体調が万全ではないときほど、熱中症のリスクは高まります。

・寝不足

・疲労蓄積

・朝ご飯を抜くなどの栄養不足

これらの生活習慣が体温調整機能を弱める原因になります。

普段から十分な睡眠・栄養・休息をとることが、熱中症の予防にもつながるのです。

・ひとことアドバイス!

小さなことでも、意識するだけでリスクは大きく減らせます。

自分のためにも、大切な人のためにも、日常でできる対策を取り入れましょう!

4. 「熱中症かも?」と思ったときの正しい対処法

もし、ご自身や周りの方の様子が「いつもと違う?」「なんだかおかしいかも」と感じたら、迷わず、すぐに対応することが大切です。

●応急処置のポイント

・まずは涼しい場所へ移動しましょう(クーラーのきいた室内や日陰が理想的です)

・衣服を緩め、風通しを良くしてください

・首、わきの下、足の付け根などを保冷材や冷たいタオルでしっかり冷やします

・意識がはっきりしている場合は、ゆっくりと水分補給しましょう。できれば、塩分や糖分をしっかり含んだスポーツドリンクが適しています

●次のような症状が見られた場合は、すぐに救急車を呼んでください!

・呼びかけても反応がない

・水分が飲めない、また吐き気などで飲めない

・けいれんがある、また意識がもうろうとしている

大切な命を守るために、ほんの少しの気づきが大きな助けになります。どうぞ無理せず、早めの対応を心がけましょう。

5.熱中症の豆知識

・コーヒーや緑茶は「水分補給」にならない

利尿作用のある飲み物(カフェインを含むコーヒー・緑茶・紅茶)は摂取しても尿として排出されやすく、水分補給には不向きです。

水や麦茶、経口補水液、スポーツドリンクなどが望ましいです。

・体重の2%以上の水分が失われると集中力が低下!

わずかな脱水でも脳の働きに影響が出ます。例えば、体重60㎏の人が1.2kg=1.2リットルの水分を失うと、すでにパフォーマンス低下が始まっています。

仕事中や勉強中のパフォーマンス維持にも水分補給は不可欠です!

・熱中症は「前日のお酒」でも起こりやすくなる

暑い時期になるとキンキンのビールを飲みたくなりますよね!

しかし、飲酒は脱水を招きやすく、翌日に汗をかいたり、炎天下に出たりすると二重の脱水状態になります。二日酔いと熱中症の症状(頭痛・吐き気・だるさ)が似ているため、見逃されやすいです!

6. 熱中症対策「義務化」、命を守る最低限のルール

2024年には、国や自治体によって「熱中症対策の義務化」が進められました。

その背景には、毎年のように多くの方が熱中症で緊急搬送されたり、命に関わるなど深刻な状況があります。

特に影響を受けやすいのは、高齢者や小さな子ども、そして野外で働く方々です。

これまでも注意喚起は行われてきましたが、それだけでは十分に予防できない現実がありました。

こうした状況をふまえ、労働現場や学校、福祉施設などでは、室温の管理や水分補給の時間確保、暑さ指数(WBGT)の確認といった、具体的な対策を「義務」として実施する流れが広がっています。

これは「命を守る最低限のルール」です。

義務だからやるのではなく、社会全体で取り組んでいくことが大切です。

熱中症は予防できるものです。大切な命を守るためにも、私たち一人ひとりができることを、日々心がけていきましょう!

7.根本から整えるには「自分の健康バランス」を知ることから

私たちは、健康を保つために必要な力として、以下のような「5つの力」が大切だと考えています。

1.解毒力

2.免疫力

3.睡眠力

4.疲労回復力

5.若返り力

この5つの力は、日々の生活や年齢の影響によってバランスを崩しやすくなります。

そのため、「今の自分にはどの力が不足しているのか?」を知ることが、ムダのないセルフケアにつながります。

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まとめ ~熱中症は、誰にでも起こり得る~

熱中症は、誰にでも起こりえる病気です。特別な人だけがかかるものではありません。

私たち誰もが、いつでも、どこでもなりえる身近な健康リスクです。

しかし、予防可能な病気でもあります。

だからこそ、「正しく知り、きちんと備える」ことがとても大切です。

自分の体を大切にすることはもちろん、家族や周囲の大切な人の変化にも気付けることが、かけがえのない命を守る力になります。

今年の夏も、皆さまが元気で過ごせるように、できることから始めていきましょう!

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最後までご覧いただき、ありがとうございました!