こんにちは。現役内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。
現代は、ストレス社会とも言われる時代。
働き方、人間関係、情報の多さ、不安定な社会情勢など、心の負担が積み重なりやすい環境がそろっています。
そのため、年齢や職業に関係なく、誰でもうつ病になる可能性があります。
「これって自分の性格の問題なのかな・・・」
そんなふうに、自分を責めていませんか?
実は、うつ病は性格ではなく「脳の働きの変化」によって起こる病気なんです。
努力が足りないわけでも、気持ちが弱いわけでもありません。
むしろ「頑張りすぎてしまう人」「我慢を重ねてきた人」ほど、静かにうつ病に近づいていることがあります。
今回は、うつ病の症状や原因など、わかりやすく解説していきます。
今のつらさにはきちんと理由があります。まずは、うつ病について正しく理解していきましょう!
「気分が落ち込む」「やる気が出ない」「何もしたくない」
そんな不調を感じていても、「ただの甘えかも」「性格の問題かも」と自分を責めていませんか?
しかし、うつ病は“心の弱さ”ではなく、脳のはたらきに変化が起きている状態です。医学的には、脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)のバランスが乱れ、感情や意欲、思考のコントロールがうまくいかなくなっていることが分かっています。
また、うつ病と似た症状がある「適応障害」という病気もあります。これは、明確なストレス(仕事・人間関係など)に対して心身がうまく適応できず、不調が出るもの。
一見よく似ていても、原因や治療の方針が異なるため、適切な診断がとても大切です。
うつ病は、心だけでなく身体にもさまざまな症状があらわれる病気です。
単なる「元気が出ない日」とは違い、毎日の生活に支障をきたすほどの不調が続くことが特徴です。
こうした症状が、日常のなかでどれだけ影響を与えているかが大切なポイントです。
「ちょっといつもと違うな」と思ったら、あなた自身の心と身体からのSOSかもしれません。
自分では気づきにくいことも多いからこそ、その違和感を無視せず、大切にしてあげてください。
「休んでいいんだよ」「助けを求めてもいいんだよ」というメッセージを、自分自身に向けてあげることが、最初の一歩になります。
うつ病の原因は、「これが原因です」と一言では言いきれません。
多くの場合、いくつかの要素が複雑に絡み合って発症します。
だからこそ、誰にでも起こり得る、そして決して「心が弱いから」ではない病気です。
こうしたことが重なって、脳の神経伝達物質のバランスが崩れ、心と身体の不調としてあらわれるのが、うつ病です。
実際、厚生労働省の調査では、日本人の15人に1人以上が生涯に一度はうつ病を経験すると言われています。
それくらい誰もがかかる可能性のある病気です。
次のような状態が続いている場合は、専門の医療機関に相談することをおすすめします。
〇気分の落ち込みや無気力が2週間以上続いている
〇眠れない・食べられない・身体が重いと感じる
〇仕事・家事・育児などに支障が出始めている
〇「つらいけれど、誰にも相談できない」と感じている
心療内科や精神科の受診にハードルを感じる方も多いかもしれませんが、まずは身近なかかりつけ医に相談するのもひとつの方法です。
うつ病は、「薬だけで治る」「気の持ちようでなんとかなる」といったものではありません。
理由として、うつ 症状の原因は、脳内のバランスの変化やストレス、生活習慣などが複雑に絡み合っていることが多いからです。
そのため、治療もひとつの方法に頼るのではなく、心と身体の両面から少しずつ改善していくことが大切です。
うつ病の治療法とは?
次にうつ病の治療法をまとめてみました。
薬物療法:脳内の神経伝達物質を整え、落ち込みや不眠などの症状を軽くします
精神療法:考え方のクセや不安を見直し、心の整理を進めます(例:認知行動療法など)
生活環境の調整:ストレスを減らし、休養をとることも立派な治療のひとつです(規則正しい睡眠と食事が大切です)
うつ病の症状には、波があります。
少し良くなったと思ったら、また落ち込む。
そうやって、脳と心がゆっくりと回復の道をたどる病気です。
「頑張らなきゃ」と自分を追い込むよりも、「今は休むのが一番の回復」と考えてあげてください。
そして、相談することは決して弱さではありません。それは、自分を大切にするための「改善への一歩」です。
うつ病の原因は、努力不足や性格の問題ではありません。
本当の原因は、ストレスや環境、体調の変化などが重なって起こる脳の働きのバランスの乱れです。
私たちの感情や思考、元気は、すべて脳の働きに支えられています。
だからこそ、「気合いでなんとかなる」「甘えだ」といった考えでは、乗り越えることが難しいのです。
うつ病は「れっきとした脳の不調による病気」です。
誰にでも起こる可能性があります。
気分の落ち込みや疲れが続いているなら、それは「心のサイン」かもしれません。
頑張りすぎず、ひとりで抱えこまずに、専門家に相談することも大切な一歩です。
「今の自分、大丈夫かな?」と思ったときが、受診のタイミングです。
あなたの心と体を守るために、早めに行動してみてください。
そして何よりも「よくなりたい」と願うあなたの気持ちは、未来につながる力になります。
健康ジャーナルでは、日々の暮らしに役立つ健康知識を随時お届けしています。
プッシュ通知をオンにしていただくと、新しく公開された記事や、大切なお知らせをすぐに受け取ることができます。
大切なコンテンツを見逃さないためにも、ぜひプッシュ通知を設定してみてくださいね。
皆さまの健康を守るために、私たちも心を込めて情報をお届けします。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
参考:厚生労働省
【執筆者】内科医 橋本将吉(ハシモトマサヨシ)
内科医。高齢者向けの訪問診療『東京むさしのクリニック』院長。2011年に「全ての世代が安心して生活できる人生に」という理念の元、株式会社リーフェホールディングス(旧株式会社リーフェ)を設立。将来の医師を育てる医学生向けの個別指導塾『医学生道場』の運営や、自らが『ドクターハッシー(内科医 橋本将吉)』というYouTubeで健康教育を行う。2022年9月に、健康や医学を医師から学ぶ事のできるサービス『ヘルスケアアカデミー』をリリース。ヘルスケアアカデミー事業の一環として企業や学校等でセミナーを開催している。また、2023年11月には現役の医師目線で日々を健康に暮らすためのアイテムを扱うライフスタイルブランド「ハシモトマサヨシ」を立ち上げ、健康に対する知識を発信しながら商品を展開している。「めざましテレビ」「ホンマでっか!TV」など多数のテレビ番組の出演、「世界一受けたい授業」「林修の今、知りたいでしょ!」など、人気番組の医療監修を手掛け、著書に『薬のトリセツ』(自由国民社)『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』(アスコム)などがある。
リーフェホールディングス:https://li-fe.co.jp/
ヘルスケアアカデミー:https://healthcare-academy.co.jp/
ハシモトマサヨシ:https://hashimotomasayoshi.co.jp/