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2025.10.16
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油断禁物!秋の食中毒に注意

こんにちは。現役内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。

「食中毒」と聞くと、真夏の暑い時期を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、実は秋こそ油断できない季節です。秋は昼と夜の寒暖差が大きく、体調を崩しやすくなり、免疫力が落ちることで食中毒の原因となる細菌やウイルスに感染しやすくなります。胃腸の働きも弱まるため、少量の菌でも食中毒の症状を起こすことがあります。

さらに、「涼しくなったから大丈夫」と思って食品の管理を緩めてしまうと、家庭内でも食中毒の原因が潜みやすくなります。調理時の手洗いや加熱不足、保存状態の悪化など、どれも身近な原因です。

実際、愛知県では食品加工会社が製造した大根おろしを使った料理が原因となり、259人が食中毒を発症しました。そのうち113人からはノロウイルスが検出され、改めて「加熱」「衛生」「保存」の重要性が見直されています。

このように、季節の変わり目は食中毒の原因が増えやすく、体調が不安定な人ほど注意が必要です。
もし食中毒の症状が出た場合は、正しい対処を行うことが回復への第一歩です。

秋に食中毒が多い原因とは?

秋に多い食中毒の原因は、大きく2つに分けられます。

① 細菌による食中毒

気温が下がっても日中は暖かいことが多く、惣菜やお弁当を常温で長時間放置すると細菌が繁殖します。
代表的なものは、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオなど。
調理後の保存時間や温度管理が不十分だと、食中毒の症状が出るまでわずか数時間というケースもあります。

② ウイルスによる食中毒(ノロウイルスなど)

秋から冬にかけて増えるのが、ノロウイルスによる食中毒です。
原因は「手洗い不足」「調理器具の使い回し」「加熱不足」など。
たとえ食品自体にウイルスがなくても、加工・盛り付け時に感染する“二次汚染”が起こりやすいのが特徴です。

ウイルス性の食中毒は感染力が強く、わずか10〜100個のウイルスでも症状を起こします。
「体調が悪いからこそ」「免疫が落ちているからこそ」

体調が悪いときほど注意し、症状が出たら早めに対処することが大切です。

食中毒の主な症状とは?

食中毒の症状は原因によって異なりますが、代表的な症状をまとめました。

  • 吐き気・嘔吐
  • 下痢(水のような便)
  • 腹痛・けいれん
  • 発熱(37〜39℃)
  • 倦怠感・食欲不振

特にノロウイルスによる食中毒の症状は突然現れるのが特徴で、発症から半日で急激な嘔吐や下痢が始まります。
高齢者や免疫が低下している人は脱水を起こしやすく、対処が遅れると重症化することもあります。

ですので、重要なのは「下痢止めを自己判断で使用しない」ことです。
身 体がウイルスや毒素を排出しようとしている状態で薬を使うと、症状が長引くことがあります。
正しい対処法を知っておくことが大切です。間違った対処方法を行ってしまうと症状を悪化させる可能性があります。

食中毒が疑われたときの対処法とは?

食中毒の対処の基本は、身体を守りながら無理なく回復を促すことです。

  1. 水分補給をこまめに行う
     → 経口補水液やスープなど、少量を何度も飲む。
  2. 食事は無理をしない
     → 吐き気がある場合は絶食し、症状が落ち着いてからおかゆなど消化のよいものを。
  3. 症状が重い場合はすぐ受診
     → 嘔吐や下痢が続く、発熱がある、血便が出る場合は医療機関へ。
  4. 食べ残しは捨てずに保管
     → 原因究明の手がかりになることがあります。

このような対処を早めに行うことで、重症化を防ぐことができます。
「自己判断せず、早めの受診」が食中毒から身を守る第一歩です。

日常でもできる対処法「食中毒予防の三原則」

① つけない(清潔を保つ)

  • 調理前後は手を洗い、まな板や包丁を使い分ける。

② 増やさない(温度管理)

  • 食品は冷蔵・冷凍で保存し、調理後は早めに食べる。

③ やっつける(しっかり加熱)

  • 中心温度75℃以上・1分以上の加熱を目安に。特に魚介類は注意。

※ノロウイルスはアルコールでは死滅しません。
家庭では、次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤を薄めたもの)で除菌を!

秋は寒暖差や疲れで免疫が下がり、食中毒の原因となるウイルスが広がりやすい季節です。
日々の衛生管理と正しい対処法を心がければ、食中毒の症状は防ぐことができます。

「涼しい季節だからこそ、予防を習慣に」 毎日の食卓から健康を守りましょう!

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参考:メ~テレ(名古屋テレビ)

【執筆者】内科医 橋本将吉(ハシモトマサヨシ)
内科医。高齢者向けの訪問診療『東京むさしのクリニック』院長。2011年に「全ての世代が安心して生活できる人生に」という理念の元、株式会社リーフェホールディングス(旧株式会社リーフェ)を設立。将来の医師を育てる医学生向けの個別指導塾『医学生道場』の運営や、自らが『ドクターハッシー(内科医 橋本将吉)』というYouTubeで健康教育を行う。2022年9月に、健康や医学を医師から学ぶ事のできるサービス『ヘルスケアアカデミー』をリリース。ヘルスケアアカデミー事業の一環として企業や学校等でセミナーを開催している。また、2023年11月には現役の医師目線で日々を健康に暮らすためのアイテムを扱うライフスタイルブランド「ハシモトマサヨシ」を立ち上げ、健康に対する知識を発信しながら商品を展開している。「めざましテレビ」「ホンマでっか!TV」など多数のテレビ番組の出演、「世界一受けたい授業」「林修の今、知りたいでしょ!」など、人気番組の医療監修を手掛け、著書に『薬のトリセツ』(自由国民社)『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』(アスコム)などがある。
リーフェホールディングス:https://li-fe.co.jp/
ヘルスケアアカデミー:https://healthcare-academy.co.jp/
ハシモトマサヨシ:https://hashimotomasayoshi.co.jp/