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健康ジャーナル

2025.07.14
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健康診断で「異常なし」でも安心できない!動脈硬化に潜むリスクとは?

こんにちは。現役内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。

「健康診断で異常なし。だから安心!」実はこれは大間違いです!!

多くの人が、健康診断の結果を見て「異常なし」と書かれていると、安心してしまいがちです。

しかし、血圧や血糖、コレステロールの数値が基準内でも、体のなかでは静かに「血管老化」が始まっていることがあります。

これまで健康ジャーナルでも、生活習慣病の「脂質異常症」「高血圧」「糖尿病」について解説してきました。

これらの病気はすべて血管を傷つけ、動脈硬化を進める代表的な原因です。

そして動脈硬化は、症状がないまま進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性もあります。

今回は「異常なし」の人も油断できない、動脈硬化について解説していきます。

ぜひ最後までご覧ください!

あわせて、動脈硬化と深く関わる「脂質異常症」「高血圧」「糖尿病」についても、それぞれわかりやすく解説しています!

気になった方は、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください👇

脂質異常症
高血圧

糖尿病

1.動脈硬化の意外なリスクとは?

Qなぜ「異常なし」でも動脈硬化は進むのか?

動脈硬化とは、血管の内側が硬くなったり、狭くなったりする状態をいいます。

血流が悪くなり、最終的に詰まってしまうリスクもあるため、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気につながる原因となります。

次に様々な要因がどのように動脈硬化にかかわるかまとめました。

〇脂質異常症(LDLコレステロールが高い)

→悪玉コレステロールが血管内にたまり、プラーク(脂のかたまり)を形成

〇高血圧

→血管に常に強い圧がかかり、内壁が傷つきやすくなる

〇糖尿病/高血糖状態

→血管の内皮が炎症を起こし、老化や損傷が進む

〇喫煙

→血管を収縮出せ、血液をドロドロにする作用がある

〇運動不足/肥満/ストレス

→血流が滞り、代謝のバランスが崩れやすくなる

「基準内」でも油断は禁物?

健康診断で異常がなかったとしても、実は動脈硬化が静かに始まっているサインが出ていることもあります。

たとえば・・・

LDLコレステロールが138mg/dL
 → 基準値内(〜139mg/dL)だが、上限ギリギリで動脈硬化リスクが高め

血圧が134/84mmHg
 → 「正常高値」と呼ばれ、将来的に高血圧へ移行するリスクがある状態

このような数値は「未病(みびょう)」つまり、まだ病気ではないけれど、確実にリスクが高まっている状態です。

症状がないからと言って、安心とは限りません!それが、動脈硬化の一番怖いところなんです。

2. 動脈硬化はいつ始まる?

「動脈硬化って、年配の人の病気でしょ?」

そう思っていませんか?・・・それは間違いなんです!

実は、動脈硬化は30代からすでに始まっている人が多いと言われています。

ある調査では、40代会社員の約60%が血管に何らかの硬化傾向を示しており、20代でも生活習慣が乱れている人には、プラーク(脂のかたまり)が確認されるケースがあります。

初期症状はほとんどない?

動脈硬化の初期症状は、ほとんどの場合自覚症状がありません。

だからこそ、知らないうちに進行してしまうのが最大のリスクです。

血管の老化やつまりの原因は次のようなことが考えられます。

〇脂質異常症

〇高血圧

〇血糖コントロール不良

〇喫煙

〇ストレスや運動不足

こうした生活習慣が若いころから続くことで、年齢に関係なくリスクが高まるのです。

しかし、動脈硬化は早めに気づいて生活習慣を見直せば、改善できる病気です。

原因を知り、症状が出る前に改善行動をとることが、未来の自分や家族を守る最善策です!

3. 動脈硬化を放置しておくとどうなるの?

動脈硬化は、進行してもほとんど自覚症状がないのが特徴です。

そのため、気づかない間に血管のダメージが蓄積し、気づいたときにはすでに深刻な状態に・・・というケースも少なくありません。

次に、動脈硬化によって引き起こされる代表的な病気をまとめました。

疾患名主な原因リスク
心筋梗塞冠動脈の動脈硬化突然死・再発率高い(致死率30%以上)
脳梗塞脳血管の動脈硬化半身まひ・言語障害・認知機能低下
腎不全腎動脈の動脈硬化人工透析導入の主要因に

しかも、これらの疾患のなかには、原因が積み重なっていたにもかかわらず「予兆なし」で突然発症するケースが3人に1人とも言われています。

つまり、明確な症状がない=健康とは限らないというのが、動脈硬化のもっとも怖いところです。

知らない間に血管の内側で進行していくこの病気は、症状が出にくいまま重篤な状態につながる可能性があるため、早めの改善・対策が非常に重要です。

日々の生活習慣を見直し、小さな「原因」に気づき、できることから「改善」につなげていくことが、未来の健康を守るカギになります。

4. 無理なく続けることが、改善への一歩

動脈硬化は「ある日突然」命に関わる病気を引き起こす原因になりうる病気です。

しかも、自覚症状がほとんどないまま静かに進行するのが特徴。

ですが、動脈硬化は日々の暮らしの中で見直せることがたくさんあります。

予防と改善につながる習慣を、今日から始められる形で3つご紹介します。

①食べ方の順番を変える「べジファースト」

→まずは食事が原因になりやすい血糖値や中性脂肪の急上昇を抑えることが大切です。

野菜→たんぱく質(肉・魚・豆)→ごはんの順番で食べるだけでも、血管への負担を軽減できます。

②毎日20分のウォーキング

→運動不足は、血流悪化や高血圧の原因になりやすい生活習慣のひとつ。

無理せず「通勤時に1駅分歩く」「買い物ついでに遠回りする」など、日常の中にある改善のポイントを見つけてみてください!

③良質な油を意識してとる

青魚(サバ・イワシ・アジ)やオリーブオイルに含まれるEPA・DHAは、血管内の炎症を抑え、動脈硬化の進行を防ぐ栄養素です。

「どんな油を選ぶか」も、体の内側から症状の予防や改善に関わっていきます。

〇さらにおすすめ!「血管寧レイチェック」

医療機関では、CAVI(キャビィ)やABIといった検査で血管の硬さやつまり具合をチェックできます。

時間はわずか5〜10分ほど。まだ症状が出ていない段階でも、隠れたリスクに気づける方法としておすすめです。

動脈硬化は、健康診断で異常がなくても、静かに進んでいることがあります。

30代からリスクが高まる人もいて、自覚のないまま重い病気につながる可能性があります。

だからこそ、「今は大丈夫」ではなく、「今だからこそ見直す」ことが改善の一歩です。

毎日の暮らしの中で、少しずつでも改善を続けていけば、きっと未来は変えられます!

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最後までご覧いただき、ありがとうございました!

参考:日本生活習慣病予防協会

【執筆者】内科医 橋本将吉(ハシモトマサヨシ)
内科医。高齢者向けの訪問診療『東京むさしのクリニック』院長。2011年に「全ての世代が安心して生活できる人生に」という理念の元、株式会社リーフェホールディングス(旧株式会社リーフェ)を設立。将来の医師を育てる医学生向けの個別指導塾『医学生道場』の運営や、自らが『ドクターハッシー(内科医 橋本将吉)』というYouTubeで健康教育を行う。2022年9月に、健康や医学を医師から学ぶ事のできるサービス『ヘルスケアアカデミー』をリリース。ヘルスケアアカデミー事業の一環として企業や学校等でセミナーを開催している。また、2023年11月には現役の医師目線で日々を健康に暮らすためのアイテムを扱うライフスタイルブランド「ハシモトマサヨシ」を立ち上げ、健康に対する知識を発信しながら商品を展開している。「めざましテレビ」「ホンマでっか!TV」など多数のテレビ番組の出演、「世界一受けたい授業」「林修の今、知りたいでしょ!」など、人気番組の医療監修を手掛け、著書に『薬のトリセツ』(自由国民社)『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』(アスコム)などがある。
リーフェホールディングス:https://li-fe.co.jp/
ヘルスケアアカデミー:https://healthcare-academy.co.jp/
ハシモトマサヨシ:https://hashimotomasayoshi.co.jp/