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健康ジャーナル

2025.12.15
カテゴリー:メディア

【フジテレビ】めざましテレビに出演!ウェルシュ菌による食中毒とは?

みなさん、こんにちは。

現役内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。

今朝はフジテレビ系列「めざましテレビ」にてウェルシュ菌について解説させていただきました。ご覧いただいた方々、本当にありがとうございました。

番組では、食中毒の一種、ウェルシュ菌について解説しましたが、番組内ではお伝えしきれなかった、ウェルシュ菌の原因・症状・潜伏期間・予防法までわかりやすく解説していきます。

最後までお読みいただけたら嬉しいです。

食中毒と聞くと、ノロウイルスやサルモネラ菌を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、日本で毎年のように集団発生している食中毒の一つに、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)があります。

ウェルシュ菌による食中毒は、「しっかり加熱した料理」でも起こるのが特徴です。特に、給食や仕出し弁当、家庭での作り置き料理など、大量調理の場面で発生しやすく、正しい知識がないと防ぎにくい食中毒でもあります。

この記事では、ウェルシュ菌による食中毒について、原因・症状・潜伏期間・なりやすい食品・予防方法までを、わかりやすく解説します。

ウェルシュ菌とは?

ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は、自然界に広く存在する細菌です。
土壌や水、動物の腸内、そして人の腸内にも常在している菌の一種で、健康な状態では問題を起こすことはほとんどありません。

ウェルシュ菌の大きな特徴

  • 酸素の少ない環境で増殖する(嫌気性菌)
  • 熱に強い「芽胞(がほう)」を作る
  • 大量に摂取すると、腸内で毒素を作る

この「芽胞」という形が非常に厄介で、通常の加熱調理では完全に死滅しないことがあります。

ウェルシュ菌食中毒が起こる仕組み

発生の流れ

  1. 食材に付着していたウェルシュ菌が、加熱後も芽胞として残る
  2. 調理後の料理を室温で長時間放置
  3. 酸素の少ない鍋や容器の中で菌が増殖
  4. 食事として摂取
  5. 腸内で菌が増え、毒素を産生
  6. 腹痛や下痢などの症状が出現

特に、「大量に作って、ゆっくり冷ます」料理が最も危険とされています。

どんな食品で起こりやすい?

ウェルシュ菌食中毒は、以下のような食品で多く報告されています。

  • カレー
  • シチュー
  • 煮物
  • スープ
  • 煮込み料理
  • 大量調理された給食や仕出し弁当

これらに共通するのは、

  • 加熱調理されている
  • 水分が多い
  • 鍋や容器の中で冷めるまでに時間がかかる

という点です。

家庭でも「一晩置いたカレー」などが原因になることがあります。

潜伏期間と主な症状

潜伏期間

  • 6〜18時間
  • 多くは 8〜10時間程度

食後すぐではなく、半日ほど経ってから症状が出るのが特徴です。

主な症状

  • 腹痛
  • 下痢(水様性)
  • 腹部膨満感

嘔吐や発熱は少ないのがウェルシュ菌食中毒の特徴です。

ノロウイルスとの違い

ウェルシュ菌食中毒は、ノロウイルスと混同されることがあります。

項目ウェルシュ菌ノロウイルス
原因細菌ウイルス
潜伏期間6〜18時間12〜48時間
主症状腹痛・下痢嘔吐・下痢
発熱少ない比較的多い
起こりやすい場面大量調理生もの・接触

嘔吐が少なく、下痢中心の場合は、ウェルシュ菌の可能性も考えられます。

ウェルシュ菌食中毒の予防方法

① 調理後はできるだけ早く食べる

作った料理は、長時間放置せず早めに食べ切ることが重要です。

② 保存する場合は素早く冷却

  • 小分けにする
  • 浅い容器に移す
  • 氷水や保冷剤を活用する

「鍋ごと自然に冷ます」は、ウェルシュ菌が最も増えやすい状態です。

③ 再加熱は中心部までしっかり

  • 中心温度 75℃以上を目安に
  • よくかき混ぜながら加熱する

④ 大量調理時は特に注意

ウェルシュ菌は「加熱だけでは防げない」食中毒

ウェルシュ菌は、

  • 加熱に強い
  • 放置で増殖する
  • 大量調理で発生しやすい

という特徴を持つ、非常に身近な食中毒菌です。

特に、作り置きや年末年始・行事食の時期には、ウェルシュ菌の存在を意識し、安心・安全な食事を心がけましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本日はフジテレビ系列「めざましテレビ」にて解説させていただいた、ウェルシュ菌についてより詳しく解説いたしました。

年末年始は家族が集まり大量調理が増える時期でもあります。

今回の内容を踏まえて、ウェルシュ菌に気をつけながら年末年始楽しんでいただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

【執筆者】内科医 橋本将吉(ハシモトマサヨシ)
内科医。高齢者向けの訪問診療『東京むさしのクリニック』院長。2011年に「全ての世代が安心して生活できる人生に」という理念の元、株式会社リーフェホールディングス(旧株式会社リーフェ)を設立。将来の医師を育てる医学生向けの個別指導塾『医学生道場』の運営や、自らが『ドクターハッシー(内科医 橋本将吉)』というYouTubeで健康教育を行う。2022年9月に、健康や医学を医師から学ぶ事のできるサービス『ヘルスケアアカデミー』をリリース。ヘルスケアアカデミー事業の一環として企業や学校等でセミナーを開催している。また、2023年11月には現役の医師目線で日々を健康に暮らすためのアイテムを扱うライフスタイルブランド「ハシモトマサヨシ」を立ち上げ、健康に対する知識を発信しながら商品を展開している。「めざましテレビ」「ホンマでっか!TV」など多数のテレビ番組の出演、「世界一受けたい授業」「林修の今、知りたいでしょ!」など、人気番組の医療監修を手掛け、著書に『薬のトリセツ』(自由国民社)『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』(アスコム)などがある。
リーフェホールディングス:https://li-fe.co.jp/
ヘルスケアアカデミー:https://healthcare-academy.co.jp/
ハシモトマサヨシ:https://hashimotomasayoshi.co.jp/