内科医 橋本将吉(ドクターハッシー)が
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健康ジャーナル

2025.11.03
カテゴリー:社員コラム

頼っていいんだ、と思えた日

――「自分で戦う」から「支え合う」への小さな変化

こんにちは。ハシモトマサヨシ運営の玉川です。

いきなりですが、病気になったとき、あなたは誰に頼りますか?

私はずっと「自分のことは自分でなんとかしなきゃ」と思って生きてきました。
周りに心配をかけたくないし、弱音を吐くのもなんだか負けた気がする。
だから、体調が悪い日もなるべく平気な顔をして、“自分でどうにかする”ことを当然のように続けてきました。

でも、最近になって、そんな私の中の“当たり前”が優しく揺らぐ出来事がありました。
それは、定期的な通院のために午前休を取った数日後、社員の子が「病院、大丈夫でしたか?」と声をかけてくれた瞬間のことでした。

■ 定期的に通う「自分を守る時間」

私は数年前から、原因不明の関節痛という持病を抱えています。
手首や膝、足首など、痛みが出る場所もタイミングもまちまち。
季節の変わり目や気圧の変化で、ある日突然痛みが強くなることもあります。

現在は症状を安定させるために、月に一度、医師の診察を受けています。
痛みの有無に関わらず、薬の調整や検査を行う定期受診。
私にとってそれは「今の自分を知り、未来の自分を守るための時間」です。

それでも、仕事のある日に病院へ行くのは少し気が引けます。
「毎月午前休を取るなんて申し訳ないな」
「みんな働いているのに、自分だけ抜けてしまうのは悪いかな」
そんな思いが頭の片隅に残り、どこか落ち着かない気持ちを抱えていました。

■ 何気ない一言のぬくもり

その日も、いつも通り午前中だけ病院へ行き、午後から出社しました。
体調も悪くなく、業務を普段通りこなしていたある朝のこと。

朝礼で全員が集まっていたとき、社員の子がふと 「玉川さん、病院大丈夫でしたか?」と声をかけてくれました。

ほんの一言でした。
でも、その一言が胸の奥にじんわりと沁みて、思わず笑顔になってしまいました。

覚えていてくれたこと。
“痛みがあるから”ではなくても、気にかけてくれたこと。
そのさりげない優しさが心に広がり、自分の存在が見えないところで支えられているような気がしました。

「気づいてくれる人がいるんだ」と思ったら、なんだか涙が出そうなくらい嬉しかったのを覚えています。

■ 「自分で戦う」だけじゃなくていい

これまで私は、病気や不調を「自分の中で戦うもの」だと思っていました。
誰かに心配されるより、自分で頑張るべき。
自分の身体のことは自分しか分からないし、人に理解してもらうのは難しいと感じていました。

だから、どんなに辛いときも「大丈夫」と笑ってやり過ごすのが癖になっていました。

けれど、彼女の何気ない一言が、その考えを静かにほどいてくれたんです。
頼ってもいい。支えてもらってもいい。

それは甘えではなく、信頼できる関係がある証なんだと気づきました。

支えられることで、心が軽くなり、その温もりが“次の優しさ”を生み出していく。
人に優しくされた経験が、今度は「誰かを思いやりたい」という力になる。
そうやって少しずつ、安心の輪が広がっていくんですよね。

■ 自分を大切にすることは、誰かを思いやること

病気を抱えていると、「迷惑をかけたくない」と思うことがよくあります。
でも、無理をして倒れてしまえば、結局は誰かに負担をかけてしまう。
だからこそ、通院することも、休むことも、仕事の一部だと今は思います。

自分の身体を気づかうことは、決してわがままではなく、 “誰かを思いやるための準備”でもある。
自分を整えることで、周りの人にも優しくなれる。

その連鎖こそが、Gift Circleが掲げる「恩贈り」の形だと感じています。
誰かの優しさを受け取って、自分もまた次の誰かへ手を差し伸べる。
その循環が広がっていけば、職場にも、社会にも、少しずつ“安心”が増えていくのだと思います。

■ 支え合える職場で働ける幸せ

「病院大丈夫でしたか?」その一言が、私の中の考え方を変えてくれました。

強くあることと、頼ることは矛盾しない。むしろ、支え合える関係があるからこそ、人は本当の意味で強くなれる。

Gift Circleのビジョンである「全ての世代が安心して生活できる社会」は、きっと、こうした小さな思いやりの積み重ねから始まるのだと思います。

私がその言葉に救われたように、いつか誰かの背中をそっと支えられる人になりたい。
そう思えるようになったのも、この職場にいるからこそです。

■ おわりに

定期通院をしていると、自分の身体と向き合う時間が増えます。
けれど、あの日の一言が教えてくれたのは、「人に支えられるという安心」もまた、健康の一部だということでした。

これからも私は、自分の身体を大切にしながら、誰かの背景に想像力を持てる人でありたい。
そして、あの時もらった優しさを、今度は私が誰かに届けていきたい。

やさしさの連鎖が、社会全体に広がっていく。
その先にあるのは、きっと「健康が当たり前に続いていく社会」であると信じています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。